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被爆という宿命に 目を逸らさず
“たたかう夢千代”
山陰の山あい、余部鉄橋を越えたあたりの、忘れられたような町 湯の里温泉。
《はる家》はその町の小さな置屋である。そこには、芸者の菊奴や金魚、賄いのスミといった、哀しい過去や心に傷を負った女たちが肩を寄せ合うように暮らしていた。
亡き母の跡を継いだ《はる家》の女将・夢千代は、いつも自分のことより周りのことを気遣いながら生きてきたのだが、その身体は病に蝕まれていた。
その《はる家》に見知らぬ男が迷い込んで来た。
彼は、まったく記憶を失っていたのである。そして何時しか、過去を捨て夢千代のいるこの町で暮らすことを望むようになる。そんな折り、神戸から、山陰に進出しようとするヤクザの沼田らが入って来る。ところが、沼田はあの広島のピカの日に、夢千代の母に助けられていた……。
もう少し広島での母のことを知りたい。そして自分の過去から逃げてはいけないと夢千代は思うのであった。一方、見知らぬ男の過去とは――。
《メインスタツフ》
原作 … 早坂暁
台本 … 志村智雄
演出 … 志村智雄
橋本英治
美術 … 石井強司
照明 … 森脇清治
音楽 … 笠松泰洋
邦楽 … 杵屋佐之忠
効果 … 川名あき
振付 … 吾妻寛穂
舞台監督 … 小野文隆
《キャスト》
夢千代 … 今村文美
マコト … 高橋佑一郎
菊奴 … 西川かずこ
金魚 … 北澤知奈美
雀 … 黒河内雅子
時子(小夢) … 有田佳代
アコ … 今井鞠子
アサ子・すみれ・芸者
… 江林智施
木原医師 … 渡会元之
藤森 … 津田恵一
沼田 … 武井茂
黒ダブル・春川若 … 寺田昌樹
赤シャツ・劇団員
… 嵐市太郎
五十鈴・芸者 … 前園恵子
団次郎 … 生島喜五郎
王永春・権太 … 柳生啓介
加津子・芸者・劇団員 … 平澤愛
玲子・林看護婦・芸者
… 小林祥子
玉子・芸者 … 田中世津子
スミ … いまむらいづみ
●安佐南区民文化センター |
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12月5日(金) |
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18:30 |
12月6日(土) |
14:00 |
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●アステールプラザ大ホール |
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12月8日(月) |
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18:30 |
12月9日(火) |
13:00 |
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上演時間
2時間50分(休憩15分含む)
鑑賞希望日締切 10月31日(金)
座席シール発行 11月14日(金)
後援:広島市・広島市教育委員会
余聞余録 2014-12-⑤(11/29)
俳優のセリフによって物語に誘われる
夢千代役の今村文美は「日記」の声から、世界ができあがって、舞台全体の要になっている。でも「セリフ」の凄さをあきらかに感じたのは、いまむらいずみだ。置屋の賄いをする老女役。終戦後、大陸でわが子を殺さざるを得なかった体験を語る。抑えたセリフが苦衷を伝える。台本にある文字を自分の経験にしてしまえる力が観客の心をとらえているのだと痛感した。そして劇団全体のアンサンブルのよさ。どんな小さな役でも、セリフが生きている。もちろん作品や演出のよさなのだが、わたしたち観客は、まず俳優のセリフによって物語に誘われてゆくのだ。劇団の養成力もある。(「邦楽と舞踊2010年11月号「花舞台、幕のうちそと」NHKアナウンサー葛西聖司」より)