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この作品は、メアリーの波乱にみちた生涯の最後の三ヶ月を、メアリーとエリザベスの相克と葛藤を中心に、二人の女王の誇り、それぞれの愛憎、そして、それぞれの人間としての深い悲しみを描いている。
「演劇の使命は、人間の精神を描くことである」(シラー)
バーリィ
清水紘治
ハンナ・ケネディ
上野淑子
シュローズベリー
池田 勝
レスター
長森雅人
アミアス・ポーレット
森下哲夫
エドワード・モーティマー
進藤健太郎
ウィリアム・デイヴィソン
水谷貞雄
スコットランド女王メアリーが粗暴な夫。ダーンリーを殺害し、血筋を同じくするイングラント女王エリザベスのもとに逃れた。そのエリザベスによって幽閉され、19年の歳月が流れる。
そして、この日、メアリーがエリザベス暗殺の陰謀に関係したとして、議会の意思で裁判が行われ、死刑の判決が下される。
エリザベスは、ためらう。「メアリーへの死刑執行命令には、署名を拒否します」
エリザベスは、看守の責任者の甥モーティマーにメアリー暗殺を命令する。「国にとって、もっとも望ましいのは、人心の安定です」
だが、モーティマーは愛のため、信仰のため、メアリー救出を決意。
メアリーに密かに心を寄せる、エリザベスの腹心レスター伯爵の計らいで、エリザベスとメアリーが対面する。
女性としての、人間としての、女王としての、全生涯をかけた二人の対決は決裂する。
エリザベスは、メアリー死刑執行命令に署名する。
メアリーは、人間の深いあやまちと、自由への希求を心に、死へとおもむく。
「神の前で、今、私の心は、あの湖のように静かで、穏やかです」
信頼するシュローズベリーからエリザベスに、メアリーはエリザベス暗殺計画に無縁との報せが届く。
エリザベスは、署名はしたが、デイヴィソンに執行許可書の保管を命じていた。
「遅すぎないことを願っています。わが王冠にたった一つの汚点、疑いの影が残るのは、決して好ましいことではありません。直ちに、執行を停止するように」・・・・・・・
処刑の報告がとどく。
「スコットランド女王は亡くなられました」
原作:フリードリヒ・フォン・シラー
脚色・演出:加来英治
美術:石井強司
衣裳デザイン:栗原小巻
証明:山本博史
効果:西田 実
舞台監督:大山慎一
企画製作:エイコーン
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2月2日(火) |
2月3日(水) |
2月4日(木) |
2月5日(金) |
鑑賞希望日締切 12月28日(月) 座席シール発行 1月14日(木) |
昼 |
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13:00 |
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13:00 |
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夜 |
18:30 |
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18:30 |
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会場 |
アステールプラザ |
安佐南区民文化センター |
劇評より
登場人物も多い5幕の悲劇・群集劇を主な人物だけの芝居に構成した、秀逸な加来英治の脚色・演出のおかげで、全国各地公演にふさわしい、重厚な芝居になっている。
旧教徒(カトリック教徒)のメアリーが19年にわたる幽閉生活を送り、ついに断頭台で生涯を閉じる。
メアリー役の栗原小巻とイングランド女王エリザベス役の樫山文枝がそれぞれサマになっている。終幕でメアリーが従容として断頭台に向かう場面が、あざやかな残像になる。樫山のエリザベスは栄光に包まれるエリザベス女王ではなく、親近感を抱かせる。正当な王位請求権を持つメアリーにコンプレックスを抱いているかのようだ、栗原のメアリーは、エリザベスにたいして優越感をひけらかせない。メアリーの美しさに惹かれ、命がけでメアリーを救おうとする青年モーティマー。彼はメアリーの意を汲んで、メアリーのかつての許嫁で今はエリザベスの愛人になっているレスター伯(長森雅人)に近づく。
バーリィ役の清水紘治、シュローズベリー役の池田勝はじめ森下哲夫、水谷貞雄、上野淑子、長森雅人ら多士済々の豪華キャストである。激動の時代背景が浮かび上がると、メアリーの悲劇性がいっそう深まるのではなかろうか(5月4日、サンシャイン劇場)。〈中本伸幸氏の劇評から他の記事と内容が被さらないように抜粋掲載させていただいた〉
宗教をめぐる時代背景
ヘンリー八世❷は「メアリー・チューダー」の母キャサリンと離婚して「エリザベス」の母となるアン・ブリーンとの再婚をめぐってローマ教皇と激突し、自らを首長とする英国国教会(プロテスタント)を創設する。
「エリザベス」即位直前の「メアリー・チューダー女王」❹は狂信的なカトリック教徒でイングランド女王になるや国教徒迫害を開始した。ロンドンの公開死刑場スミスフィールドでは、連日のようにおびただしい国教徒の火刑がおこなわれた。“血塗られしメアリー”の異名を後世に残し在位5年で世を去った。
国教会教徒の「エリザベス女王」❺が誕生しふたたびプロテスタントの世界へと逆転した。
しかしカトリックはまだ勢力を持っており、奪回の機会を狙っていた。
ここで「エリザベス女王」❺が死亡すれば、チューダー王朝の血を受け継ぐものはカトリック教徒であるスコットランド女王の「メアリー・スチュアート」ただ1人となる。しかも離婚を認めないカトリック教徒にとっては「エリザベス」は庶子であり「メアリー・スチュアート」こそイングランドの正当なる王位継承者なのだ。
こうした状況の中で「メアリー・スチュアート」は否応なくイングランド内部の争いに巻き込まれていく。
「エリザベス女王」❺も絶えず暗殺の危機にさらされることになる。
(劇団パンフレット「『メアリーとエリザベス』16世紀の2人の女王/甲斐萬里江」を資料とした)
後援:広島市・広島市教育委員会