作:矢代静一 脚本・作詞:藤田敏雄 作詞:山川啓介
音楽:いずみたく 演出:金澤菜乃英(青年座)
ある年の大晦日、雪深い山荘に三人の脱獄囚が逃げ込んで来た。三人は「ねじ釘の哲」「泉の三太」「キャンパスの助六」と呼ばれている、人を殺した凶悪犯だった。
三人は偶然迷い込んだその山荘で、心ならずも心中しようとしていた父娘を助けてしまう。
遺書によると父親の明は、借金を苦に自分だけが死んでしまうと、遺された末娘の光子は知的障害があるため、生きていくのが困難だろうと思い悩んだ末の無理心中だった。意識を取り戻した光子は、自分を助けてくれた脱獄囚たちを“天使”だと思いこんでしまうのだった。
買い物から帰って来た姉娘のエミは、父と妹が心中しようとしていた事を知って愕然とする。
そして、家の中には見知らぬ怪しげな男たちが三人……。そこへ父娘が自殺を図る原因となった人物である、父親の従兄弟の黒川とその息子でエミの婚約者の始や、地元の駐在が訪ねて来て……。
ねじ釘の哲
横堀悦夫
(青年座)
泉の三太
吉田 雄
キャンパスの助六
半澤 昇
大塚 明
米山 実
(文化座)
大塚エミ
大川 永
大塚光子
刀根友香
黒川虎男
金子由之
(昴)
黒川始
松田 周
(青年座)
巡査
町屋圭祐
(昴)
男性コロス
荒川湧太
(オーチャード)
男性コロス
宮村大輔
女性コロス
成観 礼
女性コロス
杉尾優香
女性コロス
吉田美緒
<Wキャスト>
女性コロス
森島美玖
<Wキャスト>
会場 日程 |
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広島市民劇場 |
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安佐南市民劇場 |
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アステールプラザ(大) |
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安佐南区民文化センター_ |
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12月16日(月) |
12月17日(火) |
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12月19日(木) |
12月20日(金) |
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昼 |
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13:00 |
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13:00 |
夜 |
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18:30 |
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18:30 |
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上演時間 2時間20分(休憩1階含む)
希望日締切 11月5日(火) 座席シール 11月26日(火)
本作品の初演は、1974年西武劇場(現パルコ劇場)の柿落とし公演として上演された作品で、有島一郎、西村晃、前田美波里などが出演し、話題となった日本製オリジナルミュージカルです。アルベールユッソンの原作(仏1952年)を、ハンフリーボガートが主演して演じた映画(米1955年)が元になっており、物語を原案として、矢代静一が場所の日本に移し、オリジナルとして書き下ろし、藤田敏雄といずみたくとともにミュージカル化。その後、いずみたくフォーリーズが旗揚げした後、日本のオリジナルミュージカル作品の古典と言われるほど、繰り返し上演してきました。そのステージ数は1,200回にもなります。
配役は変えてきたものの、演出はずっと藤田敏雄が担当しており、この45年間誰も他の演出されずにいたことが、珍しいとも思えます。もちろん、学校での演劇部による上演などはありましたが、劇団として、ミュージカルの元祖とも言える作品を是非若手新進気鋭の演出家に託したく、今回の企画となりました。
名曲として歌い綴られているテーマ曲「翼のない天使」、そして劇団四季の「さよならTYO」の描き直しとして挿入された「今・今・今」は、現在でもコーラス楽曲として各地で愛され続けています。この楽曲が持つ、愛の力強さ、純真さ、そして明日への希望が、物語とともにいつまでも心に残ることで、名作とされてきました。物語の普遍的な魅力は、絶望の中に見いだされた希望であり、それは世の中を捨てようとしていた脱獄囚たちの隠された正義と、純真無垢な知能障がいの娘の眼の中にあったという、見えないところにある一筋の光だと思います。そのドラマがいずみたくの音楽とともにいつまでも心に残るワンシーンを創り出し、名作という名を得ることができました。
また、様々な俳優が、"天からの贈り物"として出逢いたい作品に上げており、この作品を通じて俳優としての向上の場にもなっているようです。特に演劇鑑賞会・市民劇場では、各地の市民劇場賞を受賞する他、他劇団からの俳優たちもこの作品を通じて幅を広げていきました。有島一郎さんから、二見忠男さん、西本裕行さんへ、西村晃さんから、忠の仁、水野龍司さん、井上一馬へ、素敵な俳優たちがその思いと、作品の魅力を紡ぎ、「おれ天」ファンを広げてきました。
その作品力を信じ、今回、劇団青年座の若き力、金澤菜乃英氏と手を組んで、心機一転、新しい魅力の「おれ天」を創り上げました。脚本、音楽はオリジナルのまま、装置、衣裳、振付を一新、サスペンス、コメディ、ロマンス、ファンタジーの要素が全て含まれた、ミュージカル「おれたちは天使じゃない」、新バージョンでの上演、ご期待下さい。
後援:広島市・広島市教育委員会